パレットで色を混合するのではなく、自ら色をつくってみる。本プロジェクトで行った顔料づくり(山形県西村山地域で実施)の過程をレシピとして紹介します。ちなみに「顔料」とは、水や油、樹脂などに溶けない有彩色の粉末を指します(実際には、とても細かい粉末が、液体に溶けているかのように見えることが多い)。
用意するもの
・原料となる石
・石を入れる袋もしくは箱
・片手で振れるハンマー
・破片が飛ばないように石をつつむ厚手の布
・グリップ付きの軍手
・小型粉砕機(今回は吉勝制作所の業務用ミルを使用、粉砕機がない場合も、ハンマーやふるいを使って顔料をつくることができます)
・乳鉢
・乳棒
・ふるい(目の細かいもの 40〜60メッシュがおすすめ)
1
原料となる石を採集する
まずは石を拾えそうな、近くの川や山へ向かいます(私有地には基本的に入らないよう注意)。どんな石も固有の色をもっているため、気に入った色や質感の石を探す気持ちで採集。その場で割って、内部の色を観察してみるのも◎。色違いの石を2〜3個ずつ持ち帰ります。
POINT
石が硬すぎると砕くのに骨が折れるので、石と石をこすったときに色が移るくらいの柔らかいものを選ぶ
2
ハンマーでくだく
石の表面が濡れていたり、土がついている場合はよく拭き取ります。そして、破片が飛び散らないように厚手の布で包み、なるべく細かくなるようにハンマーで砕いていきます。砂状になった石をふるいにかけて乳鉢へ。このとき、色や石ごとに乳鉢を分けておきます。
POINT
ハンマーで手指をつぶさないように注意!
3
粉砕機でさらにくだく
石をさらに細かく粉砕機で砕きます。30秒×3回が目安。粉砕機がないときは、細かく砕いた石をふるいにかけます。粉末状になったら乳鉢へ移します。
POINT
・粉砕機を使うときは、機械が対応できる硬さや用途、使い方など説明書をよくご確認ください。
・ふるいを使うときは、2種類の目の細かいふるいを用意すると便利です。二重に重ねてふるいをかけるとより細かなものを得ることができます。
4
乳鉢と乳棒でより細かくする
乳棒を乳鉢に押し付けるようにリズムよく回し、15分ほどさらに細かくすり潰していきます。最初、ゴロゴロと鳴っていた音がだんだんと高音に。指でつまんだ感触も確かめつつ、全体が同じ粒度になるよう注意します。
POINT
・細かさの目安は、指の指紋の溝に粉が入り込むくらい(20ミクロン以下)
5
仕上がった色に名前をつける
色そのものや採集した場所、プロセスをふまえて顔料に名前をつけて、完成! 実際に使う際は、膠(にかわ)を湯煎してといたものと適量の水、顔料を混ぜ、筆や刷毛で色を乗せていきます。